シルバーレイン(TW2)にて活動中・朱鷺村伊鳥とその弟分と隊長のブログ
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Powerlessness
日本(伊鳥)編。
【You have the right to that】第二話。
伊鳥、中1。の、だいたい夏の終わりから秋口ぐらい。
一話からすぐ後です。
まだただの、一般人です。
【You have the right to that】第二話。
伊鳥、中1。の、だいたい夏の終わりから秋口ぐらい。
一話からすぐ後です。
まだただの、一般人です。
「Powerlessness」
神様なんてものが実在するとして。
もし俺の前にそいつが現れたら、とりあえずぶん殴ろうと思っている。
俺よりももっと重要視しなきゃならねぇ、救うべき人間がいるだろう。さっさとそこへ行きやがれと。
てめぇはきっとそうやって、あの日も間違えたんだろう。
今更のこのこ現れたって、もう何もかも手遅れだ。
てめぇなんかもう、要らねぇよ。
暑くて死ぬんじゃねぇかと思っていたのに、残暑はもう秋に変わるらしい。
陽が落ちるなり風は冷たくなって、二の腕に鳥肌を立てさせた。
(そう言や、あの日もこれくらい肌寒かったっけか)
この時間じゃあ、俺はもう家を出ている。着替えでもしてた頃合だろう。
……だから、あの日の俺は、もう間に合わない。
あの日のことは忘れもしない――正直なところ、そんなのは嘘だ。
何度も何度も繰り返し訊ねられた。
忘れていることはないか。こうだったんじゃないかああだったんじゃないか。
家を出たのは本当に四時半過ぎだったのか。それが確かだという証拠はあるか。三十分より前だった可能性はないか。
出かけるとき家にいたのは親父と母さんだけだった。それは本当か。姉ちゃんは本当に俺より先に出かけていったのか。
自信もってはいそうです証拠はこれです間違いありませんなんて、そんな事言えやしねえ。
言われりゃ二十分くらいだった気にもなるし、俺が出かけたときはまだ家にいた気もしてくる。
多分俺のあの日の記憶は随分と掻き回されて塗り直されて真実とは違うものになっている。
……そうして真実を代償にして、見合った成果が出りゃあそれでいい。
ちゃんと犯人を捕まえて、犯した罪に見合うだけの判決を出してくれりゃあ、それで良かった。
「そんなこと言ったって犯人達は死んでしまったんだ。死んでしまったものを捕まえる事も出来ないし、裁判にかけることも出来ない。だから、この事件はこれで終わりなんだ。これ以上捜査を続ける事は不可能なんだ。わかってくれ」
だったらせめて、あの日の正しい記憶を俺に返してくれよ。
もう何が真実だったのか、俺が体験したことさえわからない。
あの日は親父が朝から家にいた。土曜、普通の休日に家にいるのは珍しかった。……仕事行ってりゃ良かったのにな。よりによってあの日は、親父は休みで家にいた。
通ってた剣道の稽古は、中学に上がってから五時から八時半までに時間が変わった。遅刻も早退もしてねぇのは俺の記憶がどうであろうと記録として残ってるから確かだ。だから俺は確実に、それに間に合う時間に家を出た。
姉ちゃんのバイトはその日は五時からで。夕方までビデオを見てた俺に六時からの再放送のドラマを予約録画するからどけって言った姉ちゃんと口喧嘩んなった事は覚えてる。デッキに残ってたのは俺の見てた古い時代劇のテープで。俺に任せるのは安心出来ないつった姉ちゃんの言い分は正しかったって事になる。
そんでバイト先のコンビニで、姉ちゃんは店ん中で騒いでたろくでもねえ奴らを追い払ったらしい。俺と喧嘩んなって機嫌が悪かったんだろう。突っかかって店から叩き出したって言われても、姉ちゃんなら納得だ。
そんでもって。
叩き出されたそいつらは、姉ちゃんの帰り道の後つけていって。
コンビニから叩き出されたってそんだけの理由で、家まで来て姉ちゃんと。母さんと親父を殺していった。
……俺はその間、ちょうど稽古の時間でいなかった。
何も知らないまんま帰ったら、家の周りに人だかりが出来ていて。
家ん中入ろうとしたら、制服来た警察のおっさんに「家に帰れ」って怒られた。
訳わかんねぇで俺の家はここだって言ったら、おっさんは慌てくさってどっかに連絡して。
車乗せられて、そのまんま警察署連れてかれて。
母さん達は死んだ、殺された、これは殺人事件だ――そんな事を説明されたのは車に乗る前か車の中か覚えていない。
玄関とこに黄色いテープが貼ってあった気がする。その黄色い色だけ、やけに鮮明に覚えてる。
あれに書いてあったのは「立ち入り禁止」だったんだろうか。「KEEP OUT」だったんだろうか。それは思い出せない。
事件は必ず解決すると言われた。だから協力してくれと。
正直役に立つような情報なんか持っちゃいなかったが、それでも俺は言われたとおりにしたはずだ。
覚えてる事なら何でも答えたし、きっと覚えていない事も言えと言われて言ったんだろう。
(……必ず解決するって、そう言っただろう)
(嘘だったじゃねぇか)
(嘘、だったじゃねぇかよ)
逮捕の直前で犯人は逃げようとして事故って死んだ。
そう伝えられた翌日から。
繰り返し言われていた『必ず捕まえるから信じてくれ』って言葉は。
『申し訳ない』『もうどうにもできない』に変わった。
『死んでしまったものは戻ってこない。君の家族もそうだが、犯人もそうだ。私も悔しいが、死人を叩き起こして手錠をかけることも裁く事もできない』
『いつまでも事件に捕らわれ続けていないで、君には前を向いて欲しい。きっとあの子もそう望んでいるんじゃないか』
何度も言われ続ければ、いくら俺が馬鹿だっつったってわかる。
もう終わったんだから諦めろと、俺は言われている。いつまで終わった事をぐだぐだ言っているんだ、と。
毎日、警察署に行って、どうにもできないと言われて。これから帰ってまた諦めろと言われる。
親がいなくなった、今。俺の面倒を見てくれてんのは、母さんの兄弟だっていう叔父さんで。
面倒みて貰ってる身で、そのひとに迷惑かけたかねぇとは思ってる。
(けど叔父さんだって、母さんが――自分の妹が。あんな風に訳もわかんねぇまま殺されて。犯人死んだから終わりです、はいそうですかって本気でそう納得してんのかよ)
……大人だから。割り切って受け入れられる、もんなのか。
俺にだって、今更どう喚こうが誰も帰ってこないなんてわかっている。親父も母さんも姉ちゃんも、殺した奴らも。
「ちっくしょう、」
――ああ、無力だ。
俺も。誰も彼も。
くらりと。目の前の景色の色がぶれるような眩暈がした。
何軒か先の家の前。
警察署から叔父さんの家に帰る時、いつも通る道だった。
その前に。男か女かよくわからない外人の子供が立っている。
探るような目で、笑っていた。
そいつがそのまま、玄関を抜けて庭先に回りこもうとしたところで。
俺は全力で駆け出して、そいつの胸倉を掴んで門柱に叩きつけていた。
「……何を、しようとしてた」
吐き出した息は走ったからじゃあなく、熱かった。
鎖骨あたり折っちまうんじゃねぇかと思うくらいには、掴んだ腕に力が入ってた。
それでもそいつは、俺を見上げて笑いやがった。
「この家に、もう住人はいないのではなかったのですか?」
言われた時の『それ』を、俺は妙に長いこと忘れていた気がする。
……忘れていた? 違う。腹の中に、ずっと持っていた。
吐き出す場所が、吐き出すタイミングが、今までどこにもなかっただけだ。
――ふざけんな。
抜かしてんじゃねぇよ、てめぇ。
誰も彼も当然の顔して、勝手にずかずか入り込んできやがって。
そうやっててめぇらは勝手に踏み入るくせに、どうして俺はここに入っちゃならねぇんだ。
おかしいだろう。ここは。
「……ここは俺ん家だ……空き家じゃねぇ、俺の家だ!!」
そう怒鳴った俺に、そいつは尾を引くようにねっとりと笑って、言った。
「それではあなたは例の事件の生き残り、朱鷺村伊鳥に間違いないのですね?」
はじめまして。
僕は、フェイト=ブラッドレイ。とある英国軍人の末子にして――
「――吸血鬼です」
どうやらこいつは、神様じゃあないそうだが。
俺が殴りたくなることには、やっぱり変わりはねえみてぇだ。
神様なんてものが実在するとして。
もし俺の前にそいつが現れたら、とりあえずぶん殴ろうと思っている。
俺よりももっと重要視しなきゃならねぇ、救うべき人間がいるだろう。さっさとそこへ行きやがれと。
てめぇはきっとそうやって、あの日も間違えたんだろう。
今更のこのこ現れたって、もう何もかも手遅れだ。
てめぇなんかもう、要らねぇよ。
暑くて死ぬんじゃねぇかと思っていたのに、残暑はもう秋に変わるらしい。
陽が落ちるなり風は冷たくなって、二の腕に鳥肌を立てさせた。
(そう言や、あの日もこれくらい肌寒かったっけか)
この時間じゃあ、俺はもう家を出ている。着替えでもしてた頃合だろう。
……だから、あの日の俺は、もう間に合わない。
あの日のことは忘れもしない――正直なところ、そんなのは嘘だ。
何度も何度も繰り返し訊ねられた。
忘れていることはないか。こうだったんじゃないかああだったんじゃないか。
家を出たのは本当に四時半過ぎだったのか。それが確かだという証拠はあるか。三十分より前だった可能性はないか。
出かけるとき家にいたのは親父と母さんだけだった。それは本当か。姉ちゃんは本当に俺より先に出かけていったのか。
自信もってはいそうです証拠はこれです間違いありませんなんて、そんな事言えやしねえ。
言われりゃ二十分くらいだった気にもなるし、俺が出かけたときはまだ家にいた気もしてくる。
多分俺のあの日の記憶は随分と掻き回されて塗り直されて真実とは違うものになっている。
……そうして真実を代償にして、見合った成果が出りゃあそれでいい。
ちゃんと犯人を捕まえて、犯した罪に見合うだけの判決を出してくれりゃあ、それで良かった。
「そんなこと言ったって犯人達は死んでしまったんだ。死んでしまったものを捕まえる事も出来ないし、裁判にかけることも出来ない。だから、この事件はこれで終わりなんだ。これ以上捜査を続ける事は不可能なんだ。わかってくれ」
だったらせめて、あの日の正しい記憶を俺に返してくれよ。
もう何が真実だったのか、俺が体験したことさえわからない。
あの日は親父が朝から家にいた。土曜、普通の休日に家にいるのは珍しかった。……仕事行ってりゃ良かったのにな。よりによってあの日は、親父は休みで家にいた。
通ってた剣道の稽古は、中学に上がってから五時から八時半までに時間が変わった。遅刻も早退もしてねぇのは俺の記憶がどうであろうと記録として残ってるから確かだ。だから俺は確実に、それに間に合う時間に家を出た。
姉ちゃんのバイトはその日は五時からで。夕方までビデオを見てた俺に六時からの再放送のドラマを予約録画するからどけって言った姉ちゃんと口喧嘩んなった事は覚えてる。デッキに残ってたのは俺の見てた古い時代劇のテープで。俺に任せるのは安心出来ないつった姉ちゃんの言い分は正しかったって事になる。
そんでバイト先のコンビニで、姉ちゃんは店ん中で騒いでたろくでもねえ奴らを追い払ったらしい。俺と喧嘩んなって機嫌が悪かったんだろう。突っかかって店から叩き出したって言われても、姉ちゃんなら納得だ。
そんでもって。
叩き出されたそいつらは、姉ちゃんの帰り道の後つけていって。
コンビニから叩き出されたってそんだけの理由で、家まで来て姉ちゃんと。母さんと親父を殺していった。
……俺はその間、ちょうど稽古の時間でいなかった。
何も知らないまんま帰ったら、家の周りに人だかりが出来ていて。
家ん中入ろうとしたら、制服来た警察のおっさんに「家に帰れ」って怒られた。
訳わかんねぇで俺の家はここだって言ったら、おっさんは慌てくさってどっかに連絡して。
車乗せられて、そのまんま警察署連れてかれて。
母さん達は死んだ、殺された、これは殺人事件だ――そんな事を説明されたのは車に乗る前か車の中か覚えていない。
玄関とこに黄色いテープが貼ってあった気がする。その黄色い色だけ、やけに鮮明に覚えてる。
あれに書いてあったのは「立ち入り禁止」だったんだろうか。「KEEP OUT」だったんだろうか。それは思い出せない。
事件は必ず解決すると言われた。だから協力してくれと。
正直役に立つような情報なんか持っちゃいなかったが、それでも俺は言われたとおりにしたはずだ。
覚えてる事なら何でも答えたし、きっと覚えていない事も言えと言われて言ったんだろう。
(……必ず解決するって、そう言っただろう)
(嘘だったじゃねぇか)
(嘘、だったじゃねぇかよ)
逮捕の直前で犯人は逃げようとして事故って死んだ。
そう伝えられた翌日から。
繰り返し言われていた『必ず捕まえるから信じてくれ』って言葉は。
『申し訳ない』『もうどうにもできない』に変わった。
『死んでしまったものは戻ってこない。君の家族もそうだが、犯人もそうだ。私も悔しいが、死人を叩き起こして手錠をかけることも裁く事もできない』
『いつまでも事件に捕らわれ続けていないで、君には前を向いて欲しい。きっとあの子もそう望んでいるんじゃないか』
何度も言われ続ければ、いくら俺が馬鹿だっつったってわかる。
もう終わったんだから諦めろと、俺は言われている。いつまで終わった事をぐだぐだ言っているんだ、と。
毎日、警察署に行って、どうにもできないと言われて。これから帰ってまた諦めろと言われる。
親がいなくなった、今。俺の面倒を見てくれてんのは、母さんの兄弟だっていう叔父さんで。
面倒みて貰ってる身で、そのひとに迷惑かけたかねぇとは思ってる。
(けど叔父さんだって、母さんが――自分の妹が。あんな風に訳もわかんねぇまま殺されて。犯人死んだから終わりです、はいそうですかって本気でそう納得してんのかよ)
……大人だから。割り切って受け入れられる、もんなのか。
俺にだって、今更どう喚こうが誰も帰ってこないなんてわかっている。親父も母さんも姉ちゃんも、殺した奴らも。
「ちっくしょう、」
――ああ、無力だ。
俺も。誰も彼も。
くらりと。目の前の景色の色がぶれるような眩暈がした。
何軒か先の家の前。
警察署から叔父さんの家に帰る時、いつも通る道だった。
その前に。男か女かよくわからない外人の子供が立っている。
探るような目で、笑っていた。
そいつがそのまま、玄関を抜けて庭先に回りこもうとしたところで。
俺は全力で駆け出して、そいつの胸倉を掴んで門柱に叩きつけていた。
「……何を、しようとしてた」
吐き出した息は走ったからじゃあなく、熱かった。
鎖骨あたり折っちまうんじゃねぇかと思うくらいには、掴んだ腕に力が入ってた。
それでもそいつは、俺を見上げて笑いやがった。
「この家に、もう住人はいないのではなかったのですか?」
言われた時の『それ』を、俺は妙に長いこと忘れていた気がする。
……忘れていた? 違う。腹の中に、ずっと持っていた。
吐き出す場所が、吐き出すタイミングが、今までどこにもなかっただけだ。
――ふざけんな。
抜かしてんじゃねぇよ、てめぇ。
誰も彼も当然の顔して、勝手にずかずか入り込んできやがって。
そうやっててめぇらは勝手に踏み入るくせに、どうして俺はここに入っちゃならねぇんだ。
おかしいだろう。ここは。
「……ここは俺ん家だ……空き家じゃねぇ、俺の家だ!!」
そう怒鳴った俺に、そいつは尾を引くようにねっとりと笑って、言った。
「それではあなたは例の事件の生き残り、朱鷺村伊鳥に間違いないのですね?」
はじめまして。
僕は、フェイト=ブラッドレイ。とある英国軍人の末子にして――
「――吸血鬼です」
どうやらこいつは、神様じゃあないそうだが。
俺が殴りたくなることには、やっぱり変わりはねえみてぇだ。
【Powerlessness=無力】
20120810
20120810
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COMMENT
プロフィール
朱鷺村・伊鳥(b47332)
卒業生 20歳
魔剣士×カースブレイド
・義兄弟ズの兄貴分の方
・お兄ちゃん
・粋と傾奇の和風好き
シン=インデックス(b55425)
高3 18歳
フリッカースペード×巡礼士
・義兄弟ズの弟分の方
・馬鹿わんこ
・無駄に育ってる
フェイト=ブラッドレイ(b47222)
卒業生 19歳
貴種ヴァンパイア×ゾンビハンター
・吸血軍人
・猟犬部隊部隊長
・義兄弟ズとはなんか腐れ縁
・現在、英国陸軍士官学校に在籍中。
――――――――――――――
この作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、義兄弟ズ背後が作成を依頼したものです。
イラストの使用権は義兄弟ズ背後に、著作権は「京作」「寛斎タケル」両絵師様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
卒業生 20歳
魔剣士×カースブレイド
・義兄弟ズの兄貴分の方
・お兄ちゃん
・粋と傾奇の和風好き
シン=インデックス(b55425)
高3 18歳
フリッカースペード×巡礼士
・義兄弟ズの弟分の方
・馬鹿わんこ
・無駄に育ってる
フェイト=ブラッドレイ(b47222)
卒業生 19歳
貴種ヴァンパイア×ゾンビハンター
・吸血軍人
・猟犬部隊部隊長
・義兄弟ズとはなんか腐れ縁
・現在、英国陸軍士官学校に在籍中。
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