シルバーレイン(TW2)にて活動中・朱鷺村伊鳥とその弟分と隊長のブログ
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If I can Re:start
「If I can Re:start」第三話。
これで「If I can Re:start」は終わりです。随所後に訂正予定。
視点が変わります。ご注意ください。
これで「If I can Re:start」は終わりです。随所後に訂正予定。
視点が変わります。ご注意ください。
If I can Re:start
「……馬鹿じゃねェのか」
声に出せたのは精々それだけだった。
衝撃的なんてレベルじゃねぇよ。
そんな言葉で片付けられはしなかった。
いきなり結社の仲間の腹ブッ刺すとこから始まる依頼なんて見たことがあるか。
少なくとも学園に連れられて来てから。
人命重視の挙句に結局最悪の死に方をさせちまうような。ここはそんな温い場所だとずっと思っていた俺には。
見たことがなかった。
「……馬鹿か」
ただ俺は惹き込まれていたとしか言い様がない。
その事件の全てに。
とある男が地縛霊に憑かれた。
その地縛霊は男がかつて亡くした友人の姿をして。
死んだ友人への思いを捨て切れない男に、自分に逢いたければこちらに来いと、そう囁いた。
今生きている友たちが同じように大事なら、彼らを殺して共に来い、と。
男はそれに従った。
そうして仲間の腹を、ゴーストを斬る為に使っていた刀で貫いた。
男は強くて。皆を殺せる力を持っていた。
殺さなければ殺される。けれど誰も死ななかった。
彼らは男に武器をむけようとはしなかった。ただひたすらに訴えた。
そして、男を引き戻したのは一枚の写真だった。
引退して最早能力者ではなくなり、遠方へ去ったもう一人の友との別れ際に撮ったその一枚。
思い出に縛られた男は思い出によって己を取り戻し、その手で過去を断ち切った。
俺が最初に思った事は。
この男は誰なんだろうと。こんな馬鹿な真似をやらかして、それでも許されて。
そうしてこの男は今も同じ場所で同じように過ごしているのかと。
どこの誰なのか、それはどの結社で起こった事なのか。
報告書にはきっちりと書いてあったのに。わざわざ図書館のデータベースで名前から調べたあたり、俺は相当動揺していた。
瀬良、陸都。結社の名は『◆RE:START◆』。
そいつは今もそこにいた。ただ痕跡を残していただけじゃなく。
今もそこで動いて息をして話して笑っていた。
これだけのことをしておいて。これだけのことをされて。
許して許されて。
『俺はようやく前に進める』
そいつはこう言っていたんだ。
……あァ。こんな奴らに会った事ねェよ。
この男に会ってみてェな。一度話がしてみてぇ。
「瀬良陸都」。
俺とは全く面識のねェ奴だ。共通の知り合いもいねぇらしい。
どうやって会いにいく? どう、コンタクトをとる?
依頼を見たんだと、直接手紙を出してみるか? ……見も知らねぇ相手から突然とか、絶対警戒されるな。
それは御免だ。この男が一体どんな奴なのか。
直接会って普通に話してみたい。
事件が起きてから、それなりに時間も経ってる。警戒されたり身構えられちゃァ、困る。
「やっぱ、同じ結社に入っちまうのが一番だよ、なァ」
この男がいる三つの結社のうち、どれかに入団すればいい。
『◆RE:START◆』。ここに直接入るのは、正直少しだけ躊躇われた。
事件自体がこの結社であったこと、だったからだ。
結局そこにした理由は、丁度よく新規入団員の募集をしていたから。
全く関係のなかった奴が飛び込んでいくには、それが一番怪しまれもしないし、都合がいい。
ただ話をしてみてぇだけなんだけどな。
どうしてこんな、潜入捜査でもするような気分で考えてるンだ。
ああそれにしても――。
(シンの奴と一緒に、どっか入りてえと思ってたンだっけか)
シン=インデックス。俺の弟分。
いつの間にか俺のことを兄貴って呼ぶようになっていつの間にか懐いていて。
いつの間にか、俺が勝手に死ねないくらい、世界をどうでもいいと思えないくらい、このままじゃいけないと気づかせるくらい。俺の大事なモンになっていた。
……こいつは基本、俺にべったりだ。
俺の行く場所にならどこだって着いてくるし、俺が来るなといえばそれに従う。
俺が便利だからと血液パック代わりの貴種になれといえばそうなったし、土蜘蛛になるなら巫女になるから任せろと言っていた。
……死ぬような場所でも、俺と一緒なら死ぬんだろう。だから俺は、あのままじゃあいられなかった。
そして俺はシンに、俺以外の奴にも目を向けさせてやりたいと思っている。
隊長の立てたあそこは、普段どおり何も変わらない。
外のどこかに一人で居ろと言えば言葉どおりに居るだろうが。それじゃあ駄目だ。
俺が手を引いて連れて行って、俺が馴染める場所じゃなきゃ、あいつは多分本当の意味で交わりはしない。
だったらこの『◆Re:START◆』って場所に、こいつも一緒に連れていけやしねぇだろうか。
……しかし兄弟分、纏めて入団するってのはどんなもんなのかね。
あんまりいい顔をされねえところもあるとも聞く。
さてまぁどうしようかとその結社のルールってモンを見直していたら、こんな言葉を見つけたわけだ。
『何かあったら三人のうちで手紙を出しやすい者で良いので連絡をくれ』
現団長の綾辻稟。元団長の鶴見秋也。結社責任者の、瀬良陸都。その誰かに。
三人の誰も俺との直接の面識がねぇのは同じだ。
――その中で誰を選ぶかなんて、最初から決まってる。
面識のないはずの三人、本来誰だって同じなんだろうが。
『俺にとって』評価が頭一つ飛びぬけてる奴が、一人いる。
そうして手紙をしたためて。いざ送ろうって段になって、俺は気がついた。
……俺は何一つあの日から変わっちゃいない。
手紙を受け取れば、出してきた俺がどんな奴なのか調べるだろう。
名前だけで顔も人となりもわからねェ奴だ。
俺が図書館でデータベースを利用して調べたように、相手もそうするのは当たり前だ。
そうやってこの男が「俺」を見たとき、そこに映る「俺」は。
朱鷺村伊鳥の『屍に憑いた鬼』のままじゃねぇか。
「……あァ。それは嫌だな」
俺がそれであるのは嫌だ。
そいつをこの、瀬良陸都って男に見せたかねェ。
そう思った俺の行動は、やたらと早かった。
シンを連れて学校の屋上に行って、従属種と貴種っていう便利すぎる関係をとりあえず止めた。
やめなきゃならねぇと思いながらもずっとだらだらと続けていたそれを、すっぱりと止めた。
……「鬼」を名乗っていた俺は。
それなりの長い時間をかけて、それ相応の身なりを誂えてきた。
鬼想村正の銘をつけた日本刀だとか、百鬼繚乱という名で仕立てた着物だとか。過去「狂人」という意味もあった紫の鉢巻だとか。
それと同じように気に入って持ってた物のひとつが、般若面だった。
力に見合わなくなって、時折外す事になる他の物と違って、手に入りやすい般若面はいつも持っていて、てめぇのイグニッションカードの中にも、あの日のまま、外さないまんま入っていた。
即頭部に括りつけるように結わえたそれを外して叩きつけてぶっ壊して潰して。
俺はそれでようやく、一つのケジメって奴をつけたと思えて。
そうして手紙を出したんだ。
瀬良陸都っていう男に。
『◆Re:START◆』って結社に入りたい。弟分を、一緒に連れて行きたい、と。
駄目だと断られる可能性だって充分にあった。
けれどこれで受け入れられなかったら。断られたら。
俺は多分どこに行ったって駄目だと。そう思った。
俺が、変わるなら。前に進むなら。やり直すなら。
もう一度、再出発するんなら。「リスタート」するんなら。
もうここでしかない、ここじゃなきゃあ駄目だと――
そう、思っていた。
「……馬鹿じゃねェのか」
声に出せたのは精々それだけだった。
衝撃的なんてレベルじゃねぇよ。
そんな言葉で片付けられはしなかった。
いきなり結社の仲間の腹ブッ刺すとこから始まる依頼なんて見たことがあるか。
少なくとも学園に連れられて来てから。
人命重視の挙句に結局最悪の死に方をさせちまうような。ここはそんな温い場所だとずっと思っていた俺には。
見たことがなかった。
「……馬鹿か」
ただ俺は惹き込まれていたとしか言い様がない。
その事件の全てに。
とある男が地縛霊に憑かれた。
その地縛霊は男がかつて亡くした友人の姿をして。
死んだ友人への思いを捨て切れない男に、自分に逢いたければこちらに来いと、そう囁いた。
今生きている友たちが同じように大事なら、彼らを殺して共に来い、と。
男はそれに従った。
そうして仲間の腹を、ゴーストを斬る為に使っていた刀で貫いた。
男は強くて。皆を殺せる力を持っていた。
殺さなければ殺される。けれど誰も死ななかった。
彼らは男に武器をむけようとはしなかった。ただひたすらに訴えた。
そして、男を引き戻したのは一枚の写真だった。
引退して最早能力者ではなくなり、遠方へ去ったもう一人の友との別れ際に撮ったその一枚。
思い出に縛られた男は思い出によって己を取り戻し、その手で過去を断ち切った。
俺が最初に思った事は。
この男は誰なんだろうと。こんな馬鹿な真似をやらかして、それでも許されて。
そうしてこの男は今も同じ場所で同じように過ごしているのかと。
どこの誰なのか、それはどの結社で起こった事なのか。
報告書にはきっちりと書いてあったのに。わざわざ図書館のデータベースで名前から調べたあたり、俺は相当動揺していた。
瀬良、陸都。結社の名は『◆RE:START◆』。
そいつは今もそこにいた。ただ痕跡を残していただけじゃなく。
今もそこで動いて息をして話して笑っていた。
これだけのことをしておいて。これだけのことをされて。
許して許されて。
『俺はようやく前に進める』
そいつはこう言っていたんだ。
……あァ。こんな奴らに会った事ねェよ。
この男に会ってみてェな。一度話がしてみてぇ。
「瀬良陸都」。
俺とは全く面識のねェ奴だ。共通の知り合いもいねぇらしい。
どうやって会いにいく? どう、コンタクトをとる?
依頼を見たんだと、直接手紙を出してみるか? ……見も知らねぇ相手から突然とか、絶対警戒されるな。
それは御免だ。この男が一体どんな奴なのか。
直接会って普通に話してみたい。
事件が起きてから、それなりに時間も経ってる。警戒されたり身構えられちゃァ、困る。
「やっぱ、同じ結社に入っちまうのが一番だよ、なァ」
この男がいる三つの結社のうち、どれかに入団すればいい。
『◆RE:START◆』。ここに直接入るのは、正直少しだけ躊躇われた。
事件自体がこの結社であったこと、だったからだ。
結局そこにした理由は、丁度よく新規入団員の募集をしていたから。
全く関係のなかった奴が飛び込んでいくには、それが一番怪しまれもしないし、都合がいい。
ただ話をしてみてぇだけなんだけどな。
どうしてこんな、潜入捜査でもするような気分で考えてるンだ。
ああそれにしても――。
(シンの奴と一緒に、どっか入りてえと思ってたンだっけか)
シン=インデックス。俺の弟分。
いつの間にか俺のことを兄貴って呼ぶようになっていつの間にか懐いていて。
いつの間にか、俺が勝手に死ねないくらい、世界をどうでもいいと思えないくらい、このままじゃいけないと気づかせるくらい。俺の大事なモンになっていた。
……こいつは基本、俺にべったりだ。
俺の行く場所にならどこだって着いてくるし、俺が来るなといえばそれに従う。
俺が便利だからと血液パック代わりの貴種になれといえばそうなったし、土蜘蛛になるなら巫女になるから任せろと言っていた。
……死ぬような場所でも、俺と一緒なら死ぬんだろう。だから俺は、あのままじゃあいられなかった。
そして俺はシンに、俺以外の奴にも目を向けさせてやりたいと思っている。
隊長の立てたあそこは、普段どおり何も変わらない。
外のどこかに一人で居ろと言えば言葉どおりに居るだろうが。それじゃあ駄目だ。
俺が手を引いて連れて行って、俺が馴染める場所じゃなきゃ、あいつは多分本当の意味で交わりはしない。
だったらこの『◆Re:START◆』って場所に、こいつも一緒に連れていけやしねぇだろうか。
……しかし兄弟分、纏めて入団するってのはどんなもんなのかね。
あんまりいい顔をされねえところもあるとも聞く。
さてまぁどうしようかとその結社のルールってモンを見直していたら、こんな言葉を見つけたわけだ。
『何かあったら三人のうちで手紙を出しやすい者で良いので連絡をくれ』
現団長の綾辻稟。元団長の鶴見秋也。結社責任者の、瀬良陸都。その誰かに。
三人の誰も俺との直接の面識がねぇのは同じだ。
――その中で誰を選ぶかなんて、最初から決まってる。
面識のないはずの三人、本来誰だって同じなんだろうが。
『俺にとって』評価が頭一つ飛びぬけてる奴が、一人いる。
そうして手紙をしたためて。いざ送ろうって段になって、俺は気がついた。
……俺は何一つあの日から変わっちゃいない。
手紙を受け取れば、出してきた俺がどんな奴なのか調べるだろう。
名前だけで顔も人となりもわからねェ奴だ。
俺が図書館でデータベースを利用して調べたように、相手もそうするのは当たり前だ。
そうやってこの男が「俺」を見たとき、そこに映る「俺」は。
朱鷺村伊鳥の『屍に憑いた鬼』のままじゃねぇか。
「……あァ。それは嫌だな」
俺がそれであるのは嫌だ。
そいつをこの、瀬良陸都って男に見せたかねェ。
そう思った俺の行動は、やたらと早かった。
シンを連れて学校の屋上に行って、従属種と貴種っていう便利すぎる関係をとりあえず止めた。
やめなきゃならねぇと思いながらもずっとだらだらと続けていたそれを、すっぱりと止めた。
……「鬼」を名乗っていた俺は。
それなりの長い時間をかけて、それ相応の身なりを誂えてきた。
鬼想村正の銘をつけた日本刀だとか、百鬼繚乱という名で仕立てた着物だとか。過去「狂人」という意味もあった紫の鉢巻だとか。
それと同じように気に入って持ってた物のひとつが、般若面だった。
力に見合わなくなって、時折外す事になる他の物と違って、手に入りやすい般若面はいつも持っていて、てめぇのイグニッションカードの中にも、あの日のまま、外さないまんま入っていた。
即頭部に括りつけるように結わえたそれを外して叩きつけてぶっ壊して潰して。
俺はそれでようやく、一つのケジメって奴をつけたと思えて。
そうして手紙を出したんだ。
瀬良陸都っていう男に。
『◆Re:START◆』って結社に入りたい。弟分を、一緒に連れて行きたい、と。
駄目だと断られる可能性だって充分にあった。
けれどこれで受け入れられなかったら。断られたら。
俺は多分どこに行ったって駄目だと。そう思った。
俺が、変わるなら。前に進むなら。やり直すなら。
もう一度、再出発するんなら。「リスタート」するんなら。
もうここでしかない、ここじゃなきゃあ駄目だと――
そう、思っていた。
【If I can Re:start=再出発ができるなら】
20120911
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COMMENT
プロフィール
朱鷺村・伊鳥(b47332)
卒業生 20歳
魔剣士×カースブレイド
・義兄弟ズの兄貴分の方
・お兄ちゃん
・粋と傾奇の和風好き
シン=インデックス(b55425)
高3 18歳
フリッカースペード×巡礼士
・義兄弟ズの弟分の方
・馬鹿わんこ
・無駄に育ってる
フェイト=ブラッドレイ(b47222)
卒業生 19歳
貴種ヴァンパイア×ゾンビハンター
・吸血軍人
・猟犬部隊部隊長
・義兄弟ズとはなんか腐れ縁
・現在、英国陸軍士官学校に在籍中。
――――――――――――――
この作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、義兄弟ズ背後が作成を依頼したものです。
イラストの使用権は義兄弟ズ背後に、著作権は「京作」「寛斎タケル」両絵師様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
卒業生 20歳
魔剣士×カースブレイド
・義兄弟ズの兄貴分の方
・お兄ちゃん
・粋と傾奇の和風好き
シン=インデックス(b55425)
高3 18歳
フリッカースペード×巡礼士
・義兄弟ズの弟分の方
・馬鹿わんこ
・無駄に育ってる
フェイト=ブラッドレイ(b47222)
卒業生 19歳
貴種ヴァンパイア×ゾンビハンター
・吸血軍人
・猟犬部隊部隊長
・義兄弟ズとはなんか腐れ縁
・現在、英国陸軍士官学校に在籍中。
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